「どんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人間であるかを言いあててみせよう」とは、『美味礼賛』の著者ジャン・アンテルム・ブリア=サヴァランの言葉。食べ方にはその人の生き方が現れるから、優れた人格と品格を兼ね備えた「優雅なエピキュリアン」を目指したい。そのために必要なエッセンスを食のオーソリティに学びませんか? 第三回目は、ヌーベルシノワ(★1)の父として世界中から愛される香港料理随一の名シェフ・周中氏に「美食同源」のエッセンスを学びます。
「白金亭」では、メニュー提案や厨房の人たちへの指導などのプロデュース業が中心だからそれほど大変じゃないよ。それに僕は日本が大好きだからね。僕の香港のお店には日本のお客さんがたくさん来てくれるし、仲のいい日本の中華のシェフも大勢いるんだ。「MGMグランド・マカオ(美高梅金殿)」でもプロデュースの仕事が中心だよ。香港にいる時は、週の内、2日がマカオでの仕事、2日がテレビの仕事、そしてそれ以外の日にプライベートレストラン「周菜」(★3)を開くといったスケジュールで動いているんだ。
うん、そこでは調理も全部僕が担当しているよ。ちなみに「周菜」で出した料理のいくつかは「白金亭」のメニューにもさまざまなかたちで取り入れているんだ。
予約はFAXで受け付けていて、スケジュールが合えばもちろんOK。年内はカナダとNYで講演会を控えていて予約が取りづらいかな? でも、ぜひいらしてくださいね。
そう願っているんだけど、実はまだあんまりないんだよ。というのも、日本は香港に比べて新鮮な食材が少ないから。
僕たちが気軽にいける市場が東京には少ない、といった方が正しいかな。香港やアメリカでは、食材を直接手にとって様子を見たり、味見できたりするものが多いけど、日本のスーパーでそういうスタイルを採用していないでしょう?直接触れてみないと、なかなかインスピレーションを得るところまでいかないんだよ。だからそういう機会があったらいいなといつも思ってるよ。
いや、新しい中華を提案したいと思っていたのではなくて、お客様によってお料理の出し方にアレンジを加えていたら、主に若い人向けに作ったフュージョンスタイルの料理が増えて、気がついたら「ヌーベルシノワの周さん」ってことになったんだ(笑)実は僕の料理の中には昔ながらの中華もたくさんあるんだよ。
「あぁ、あの人はオーソドックスな中華がよさそうだなぁ」とか「この人は若いからフュージョンのアレンジを加えた方がいいかなぁ」とかお客様の顔や雰囲気を見て決めただけさ。
あはは、まさかそれはないよ(笑)だって料理を作る前に僕がわかるのはお客様の表情や服装だけ。お金持ちかどうかは解らないもの!
中国人は特に秋冬にその理論を用いる傾向があるかな。スープに漢方薬を入れたりね。ただ漢方料理は苦いこともあるから、日本の人はあまり好きじゃないでしょう? だから日本人向けには漢方薬を少しだけ入れるくらいかな。
いい食材といいプレゼンテーションを意識しています。そこでひとつ提案があるんだけどそれらをより効果的にするためには、皆さんに食事を目と舌で楽しむようにして欲しいんだ。これは食事できれいになるためにとっても大事なことだよ。
それから、美食同源という意味では、春は比較的お肉を多めに食べても大丈夫な季節だけど、夏は野菜をたくさん食べてお肉は少なめにすることが大事。女性は年間を通じて魚を食べるといいね。特に魚は内臓類ではなくて背中の部分なんかがおすすめだ。あとは一年を通じて野菜、それから果物をたくさん食べるのがいいね。
「清淡」(薄味)「少肉多果」(肉類は少なく、野菜、果物を多く)「少油少塩」(油や塩分を控えめに)の三原則だね。これを守れば腎臓の働きが良くなるから肌はきれいになるし、体もすっきり、無駄なお肉がつかないようになるよ。
僕の料理はちょっとずついろんなものが食べられるようにメニュー構成をしているので、ぜひ「少食多餐」を楽しんで欲しい。これは、一回の食事でも、一日の食事においても同じことが云えるんだけど、食事回数は一日4回くらいがいいよ。僕も実践してるからね。“ちょっとずつ、いろいろ”が大切なんだ。


★1 ヌーベルシノワは、当時、香港ハイアットリージェンシー「凱悦軒(ガイエツケン)」総料理長を務めていた周氏が火付け役となり、1980年代から始まった新しいスタイルの中国料理。銘々皿で幾皿も出すスタイルと美しい盛りつけ、ヘルシーな調理法が特徴とされています。
★2 ラスベガスで最も有名なカジノ・リゾート、MGMが2007年12月マカオに開業したホテル。35階建ての豪華絢爛なホテルで、総客室は600室。龍が舞う天空の世界をイメージした高級中華料理店の総監督を周氏が務め、定番料理の他、地元産の素材を料理を提供しています。
★3 周シェフが自宅に少人数を招いてコース料理を提供するプライベートレストラン。セレブリティにも愛されており、なかなか予約が取れないことで有名です。(予約の際に飯野さんのAlluxeの記事を見たと書いてみてください)
『周菜(シュウサイ)』
住所:香港 上環 文或西街 27-29号
電話:2805-1116
FAX:2805-1117
★4 ざくろは「フルーツの宝石」と言われ、3種類ものポリフェノール、ビタミンC、ビタミンK、カリウム、繊維質など女性に嬉しい栄養分が含まれていることで人気です。11月はカリフォルニアざくろ「ワンダフル種」が最盛期を迎える時期なので、美容と健康のためにぜひ取り入れてみて。
カリフォルニアざくろ協会 www.pomegranates.jp
restaurant chinois
周中菜房 白金亭
香港料理随一の名シェフとして名高い周中氏の料理を日本で唯一楽しめるレストラン。周シェフが生み出す、伝統的な広東料理の中に西洋の食文化を取り入れた新しい中国料理を堪能できます。洗練されたインテリアと伊東深水画伯の風景画に彩られた贅沢な空間は接待にも最適です。
- TEL:03-3280-1237
- 東京都港区白金台 4-19-13
- 営業時間/11:30 ~ 15:00(14:00LO)、17:30 ~ 22:00(21:00LO)
- 定休日/火曜(祝日の場合は営業)
- 席数/54席(個室 3室)
- アクセス/東京メトロ南北線、都営三田線白金台駅1番出口より徒歩2分
- 平均予算/昼:¥3,234~、夜:¥9,702~
- 備考/サービス料10%、個室あり、禁煙席あり、お子様連れOK
- www.shirokanetei.com/

AllAbout食育ガイド/ myfood.jpチーフエディター。健康管理士、薬膳料理指導員、食育指導士など多数の資格をもち、西洋医学、東洋医学、植物療法の観点から食の効能についての情報を組み合わせ、商品開発、店舗展開に多数参画。2005年よりAll About食育ガイドとして活動。発芽玄米普及大使も務め、FANCL発芽玄米粥の監修も務める。最新の著書に『合格への食卓』(扶桑社)、監修本に『いつだって枝豆』(青春出版社)がある。
公式ホームページ http://www.tablebongout.com/



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