恋の始まり、ビジネスシーン、そしてさまざまな人間関係を築く場面で「食」は鍵となるひとコマ(★1)。単に食事を共にするという以上に、人格や品格が見えてくる場といえるのではないでしょうか。食べ方にはその人の生き方が現れる(★2)。だからこそ優れた人格と品格を兼ね備えた「優雅なエピキュリアン」を目指したい。そのために必要なエッセンスを食のオーソリティに学んでみませんか? 第一回目は、銀座の料亭「朝川」代表として会席料理の新しい世界を切り拓く現代会席のオーソリティ・伊藤ミナ子さんに料亭のエッセンスを学びます。
「Maison d'Asakawa」は多くの顧客に惜しまれつつ、2009年4月末に閉店。
料亭「朝川」若女将・伊藤ミナ子さんの活躍はブログでご覧いただけます。
http://ameblo.jp/itohminako/
「懐石料理」と「会席料理」の違い(★3)を知れば、気楽にとらえていただけるのではないでしょうか。「懐石料理」が茶事に伴う料理であるのに対して、「会席料理」は人々が集まる宴席で供される料理のことですから、お酒を楽しむためのフルコース料理と考えていただければいいと思うんです。
会席料理は人々が集まる場でいただくものですから、相手を不快にさせないことは基本マナーだと思います。あとは音を立てない、食事のペースを相手にあわせるなど、相手への心遣いといったことでしょうか?(★4)。ただこれは会席料理に限らず、お互いがそれぞれの立場で相手を思いやるという気持ちがあればおのずと所作にも表れると思いますので場が和む、白けないということをちょっと意識していただければいいと思うんです。
そうですねぇ、例えば接待の席であれば隣のお座敷が同業者にならないように配慮したり、会話の転換点を演出するためにご挨拶に上がる、料理を供するスピードを調整する、お土産や安全で信頼できるな運転手さんの手配など、宴席が上手く運ぶお手伝いをさせていただくことですねぇ。
そうですね。あらかじめご要望をお聞かせいただければ、よりお客様の希望に沿った采配が出来るかと思います。料亭が初めてで勝手がわからない場合などは、お酒の頼み方や化粧室に立つタイミングなど、遠慮なく質問してくださればと思います。宴席を成功させるために、みなさん、もっと女将に甘えていただきたいです。
そうですね。そのためにもまずは料亭を体験していただければと思います。そうはいってもご予算もありますし、紹介者がないと難しいお店もありますよね。
実は、私が「料亭朝川」のセカンドダイニングである「Maison d' Asakawa」を開いたのには 日本の料亭文化を次世代に伝えるために、料理を供する側も時代に合わせた変化が必要と感じた部分もあったんですよ。
ありがとうございます。そういう意味ではより多くの方々に料亭と会席料理を楽しんでいただくために、「Maison d' Asakawa」は、お店も板場もお客様の声を大切にするよう心がけています。例えば、この秋生まれた「野菜たっぷりコラーゲン会席」はカロリーを気にされるお客様のご要望から生まれたものなんですよ。料理の内容もお客様数十名様にご試食いただいて、味、量等細かく調節しました。
また、安さにも挑戦してみました。「料亭朝川」ではありえない価格です(笑)。正直、銀座・木挽町の料亭街で5,000円くらいの会席を置く事はかなり大きな挑戦なのですが……でも皆さんに喜んでいただけたら嬉しいですね。
日本で初めてパンに合わせる和食コース「ワイン会席」もご好評いただいていてありがたく感じています。
「Maison d' Asakawa」で静かな銀座の雰囲気と料亭文化、そして新しい会席料理のスタイルを楽しんでいただけたら嬉しいですね。


★1 政治や経済の世界でよく使われるものに「ランチョンテクニック」があります。心理学者のグレゴリー・ラズランが研究し、明らかにしたもので、要望や交渉事が受け入れられる確率を上げる手法。おいしいものを食べると、心地よい感情「快楽」が生まれ、食事中に聞いた話は「快楽」と結びつくという「連合の原理」を利用したものです。
★2 「どんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人間であるかを言いあててみせよう」とは、『美味礼賛』の著者、ジャン・アンテルム・ブリア=サヴァランの言葉。
★3 「懐石料理」は、一汁三菜を基本とする茶事発祥の料理。「禅宗の僧侶が空腹と寒さをしのぐために温めた石を抱いたこと」に由来し、禅の影響を受けた茶の湯で、お茶を飲む前の腹ごしらえとして出された料理を指します。「会席料理」は貴族や武士が宴席で客をもてなすために供した「本膳料理」がルーツとされており、江戸時代以降に発達しました。現在では、茶事のもてなし料理を「懐石」一般的な宴会料理を「会席」と区別することが通例になっています。
★4 会席料理のテーブルマナーは相手への気配りが基本なので、さほど難しいものではありません。ただいくつか誤解されているマナーも。例えばお料理を手で受けて食べるのは、一見上品ですが、実はマナー違反。小皿に取るか懐紙を添えていただきましょう。また、おしぼりでテーブルを拭くのもマナー違反です。気をつけて!

AllAbout食育ガイド/ myfood.jpチーフエディター。健康管理士、薬膳料理指導員、食育指導士など多数の資格をもち、西洋医学、東洋医学、植物療法の観点から食の効能についての情報を組み合わせ、商品開発、店舗展開に多数参画。2005年よりAll About食育ガイドとして活動。発芽玄米普及大使も務め、FANCL発芽玄米粥の監修も務める。最新の著書に『合格への食卓』(扶桑社)、監修本に『いつだって枝豆』(青春出版社)がある。
公式ホームページ http://www.tablebongout.com/



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